いつか「あの人は何か大切にしている事があるんだね」と言いあえる日が来るように。

今年であの東日本大震災から8年が経ちましたね。

 

今でも被災地では

まだまだ未解決の多くの問題を抱えているという話を聞いています。

 

『今、自分ができる事』

ほんのわずかですが募金は続けさせていただいています。

そして当日は海へ出掛け黙祷してきました。

 

3.11

 

あの日、僕は前職勤務の休憩中で

ブラインドが大きく揺れた事に気づきました。

 

戻った売り場にはTVもラジオもない。

PCはあっても業務に関係のないニュースを検索する事もないので

東北のリアルな情報を知らないままでした。

 

夕方に勤務を終える女性スタッフが

「東北、大きな地震で津波ですって。凄い事になってるみたいです!」

記憶が正しければこれが初めての情報。

 

「津波?まぁ津波は大丈夫だろう・・・」

そんな悠長な他人事で終えてしまったのを今でも覚えています。

 

帰宅22時。

 

TVを見て驚愕しました。

「何だ、これは・・・」と。

 

次から次へと悲惨な状況が伝えられる報道に

言葉が詰まりました。

 

 

それから数日、数週間、伝えられる被災状況。

 

「こんな状況の中、ボクはこの仕事をしていて良いのだろうか」

 

「もっと世の中に役立つ仕事をするべきなんじゃないだろうか」

 

この業界の仕事に就いて初めてこの仕事を辞めようかと思いました。

 

 

しかし、報道の中で気になる事が聞こえ始めたんです。

 

「奥様が大事に抱えた指輪は被災に遭いお亡くなりになってしまった

ご主人がサプライズで渡そうと車の中に用意していたものだった」

 

「着けていた結婚指輪の内側の刻印で身元が判明した」

 

「家族も家の物も全て津波に流されたけど

家族が身に着けていたジュエリーが形見として残った」

 

 

宝石やジュエリーはカタチで見てしまえば

確かに贅沢品だったり、生活に不必要と思われてしまう事は

多々あります。

しかし、そのカタチには人の思い出や想いが宿っているんですよね。

 

それを改めて感じた時、僕はこの仕事で

まだまだできる事、やる事があるぞ!と思ったんです。

 

 

「宝石・ジュエリーってさ、生活に必要な物じゃないよね」とは

良く言われる言葉。

 

必要な物じゃないからそれを求める方も限られてくる。

「そんな仕事は大変だよね」っていう

ビジネスとしての心配をしてくれている言葉でもありますが。

 

そうだよ、必要の無い物。

でもね、

生活に必要ないのに何で今日まで残っているの?

生活に必要ないならとっくに無くなっていてもいいはずなのに。

今日まで残っている事には意味があって

残っている事って素晴らしい事なんじゃないの?

 

 

震災後。

 

好きなものを食べたい、お風呂に入りたい、

安心して眠れる場所が欲しい

元の生活に早く戻りたい、

自分には想像もできない辛い状況だったと思います。

 

体も心も衰弱してる方々に

音楽やエンターテイメントが

勇気と希望を与えてくれたというニュースをいくつも見ました。

 

音楽もエンターテイメントも宝石やジュエリーと同じ。

それ自体はお腹を満たしてくれないし、体を温めてもくれない。

 

でも多くの方に希望を与え、勇気づけてくれた。

 

音楽やエンターテイメントは

我々の心に元気・勇気や希望を与えてくれる。

宝石やジュエリーは

我々の心や想いをカタチにする事ができる。

 

 

僕たちは人間。

心で感じて心を大切にできる。

 

自分の心を満たしてくれるものを大切にして

自分の心も生かしてあげたいよね。

 

あれからずっと。

僕は、asterismは宝石とジュエリーの文化と歴史を

そして人の心や想いを大切にしていきたいと

思ってこの仕事を続けています。

いつか。

宝石やジュエリーを身に着けている人を見て

「あの人、贅沢」とか

「あの人、派手」ではなく

 

「あの人は大切にしている事があるんだね」と言われるような日を

迎えられるよう、この仕事で僕なりに努力していきます。

 

 

今日はこの辺で。