製作本数13本!8角形リング作りの挑戦

突然ですが、あなたは

『テーブルをひっくり返して、「キーーーーーーーーー!!!」と発狂したくなること』

ありませんか?

ワタシはこの1ヶ月ほど、毎日そんな衝動にかられていましたので

つい、そんな事をお聞きしたくなりました(^^;)

発狂の原因はこちら☟

とは言え、指輪に対してでもオーダーに対してでも、もちろんございません。

思い通りに作れない、自分の技術力に対してです。

2本作れば良いペアリングを13本作りました。

そんな苦行を、いつか振り返る時が来るだろうと

今日は書いておきます。

はじめての挑戦はシルバーで試作作り

8角形のご結婚指輪と重ねて着けられるペアリングのオーダーをいただきました。

寸法を測らせていただき、作業にとりかかります。

オーダーメイドのジュエリー製作というお仕事は

全く同じものを製作するという機会はほぼほぼありません。

毎回が初チャレンジのようなもの。

時には一度シルバーで試作品を作って確認を踏むことがあります。

今回はそのケースでして、確かめながら

なおかつそのシルバーを原型として鋳造製作を行う

コストダウンを狙う予定でした。

指輪の手作り

試作1本目。

寸法に狂いが出たが、まあまあいい感じ。

次で完成、原型として使えるでしょう。

指輪の手作り

試作2本目。

むむむ?

なぜに、1作目より大きく寸法が狂う?

原因は8辺のうちの2辺が0.5mmズレたこと。

指輪の手作り

試作5,6本目。

この間にも納得いかなかったのが2本。

やっと寸法通りのものができました。

あとは、成形して研磨して鋳造だ!

こんなに上がる?まさかの金相場爆上がり!!

と、思っていたら・・・ちょっと待って。

金相場がめちゃくちゃ爆上がり始めたんですけど・・・。

これは、まずい!

オーダー時にお客さまに提示した金額では

作製できないほどに金相場が上昇してしまいました。

予定変更!

金そのものを加工していきましょう。

いつものアステリズム方式で製作していきます。

在庫ストックしていた18金イエローゴールドとピンクゴールドを急遽使用します!

指輪の手作り

鍛造して延ばしていきます。

指輪の手作り

指輪の内寸法と板厚計算通りに刻みを入れていきます。

指輪の手作り

この間にも金相場はさらに上昇し続けます。

あわわ、わわΣ(゚д゚lll)

今ある指輪に合わせなきゃいけないプレッシャー!

・シルバーとイエローゴールドとピンクゴールドの硬さが異なるので

 曲げる角に狂いが生じ、寸法通りにいかない

・ケガキと鋸刃を入れる箇所が0.2mmずれる

・鋸刃を入れた後に削る角度が鈍角過ぎる

・鋸刃を入れた後に削る角度が鋭角過ぎる

7,8,9,10,11本と作り直し。

指輪の手作り

全く新しい8角形を作るのであれば、こんなにも苦労していないんです。

この時点で文句なしの完成!やった♪なんです。

今回の苦労は・・・

現在ご愛用なさっているご結婚指輪と重ね着けするペアリングだということ。

すなわち、

ご結婚指輪と重ねて着けた時に

できるだけピッタリとサイズ感が合っていないと気持ち悪い!

ということなんです。

8つの角の頂点、辺の長さ、厚み。

これがピッタリと合っていたいのです。

「これじゃダメだ、重ねた時にピッタリと合いそうにないや・・・。」

作り直しましょう。

ここまで来たら、10本も20本も同じ。

合うまで作ろうじゃないの!

と、覚悟を決めて作ると不思議。

今まで以上に丁寧に慎重に作りましたが、気負っていたものが吹っ切れたのか

試作12、13本目で納得できるものが出来上がりました。

指輪の手作り
ご主人用はイエローゴールド
指輪の手作り
奥様用はピンクゴールド

この度のオーダーでとても良い経験をさせていただきました。

このような機会を与えてくださったオーダーに感謝しています。

1つの物を作り続ける事によって作業効率が上がるのを体験できましたし、

どうすれば理想に近づくものが作れるかということも

今まで以上に考えることができました。

「キーーーーーーーーー!!!」となった後が肝心。

それでも挑戦して、失敗して、考えて、改善して。

未来の自分が、また同じ轍を踏みそうになった時に

言ってあげたいですね。

「感情は一度捨てて冷静になって、積み上げていくだけだよ。」って(笑)

PDCAがやっぱり大事。

今日はこの辺で。