最近、お客様からこんなご質問を受ける事が増えてきました。

「金が高くなってきているから、プラチナの方が良いですよね?」

「え?ジュエリーだとそんなに差がないんですか??何で???」


2022年8月12日 9:30公表 地金相場価格(税込)

純金:8,484円 1g

純プラチナ:4,591円 1g

田中貴金属工業公表相場より


以前は長い事、純プラチナは純金の約2倍の価格で推移してきましたが

今や純金の方が純プラチナの約1.8倍の価格に逆転しています。

そして先のお話。

要は、相場でこれだけの価格差があるのだから

さぞ、プラチナジュエリーはお安く手に入るだろうと、多くの方々が思うのです。

答えを先に行ってしまいますが

相場でこれだけの価格差があっても、ジュエリーになると価格差は微小、

もしくはプラチナジュエリーの方が高くなってしまいます。

今回はその理由をお伝えしていきます。

ジュエリーの材料(合金)の配合

まずはジュエリーの材料(合金)、貴金属の配合を知っておきましょう。

今回はイエローゴールド、ホワイトゴールド、プラチナの例を挙げてみていきましょう。

貴金属の配合

一部例外はありますが

基本、貴金属は純金や純プラチナなどの純物のみでジュエリーを作製する事はありません。

理由は純物のみだと柔らかすぎて形状が保てないからです。

傷だらけになる事はもちろんですが

指輪は簡単に変形、曲がるし

ネックレスチェーンは伸びてしまいます。

そこで、純度を保ちながら強度を出すために他の貴金属を配合して合金にしています。

18金(K18と表記します)はイエローもホワイトもピンクも

ジュエリーの重量の75%が純金という物になります。

残りの25%にどんな貴金属を配合しているかで

色や強度、性質が変わります。

イエローは他の貴金属として銀と銅を入れ、ホワイトはパラジウムを入れます。

プラチナもパラジウムを入れます。

Pt950はプラチナ95%と5%のパラジウム、

Pt850はプラチナ85%に15%のパラジウムの配合です。

各貴金属の価格

では、まずは先ほどの表に各貴金属の1gの価格を入れてみます。

2022年8月10日の価格

これを踏まえて、イエロー、ホワイト、プラチナで10gのジュエリーを作った時の金額をみていきましょう。

10gのジュエリーを作った時の金額

あくまで単純計算になるのですが

・純金は10gの75%で7.5g 7.5×7,856=58,920円

・パラジウムは10gの25%で2.5g 2.5×9,900=24,750円

・純プラチナは10gの90%で9.0g 9.0×4,154=37,386円

イエローゴールドは58,920円+151円(銅の価格は無視しています)=59,071円。

ホワイトゴールドは58,920円+24,750円=83,670円。

プラチナは37,386円+9,900円=47,286円。

あれ?イエローゴールドとプラチナの差が

相場価格では約1.8倍の価格差だったのに

ジュエリーの材料(合金)になったら約1.2倍に縮まりましたね。

そして、ホワイトゴールドが一番高い金額に!

パラジウムの価格が高騰、高止まり状態ですので

パラジウムが配合されると全体的に価格は上がってしまいます。

これが金とプラチナだけの相場観で見ると差があるのに

ジュエリーになると差が縮まる要因です。

プラチナジュエリー

上でお伝えしてきたことは材料としてのお話でしたが

最後に製造コストの事もお伝えしておきます。

プラチナは金よりも溶解温度が高いです。

よって金よりも溶解が困難です。

また、金よりも粘りがあります。

曲げるなどの加工は楽ですが、研磨が非常に難しく時間がかかります。

さらに、アステリズムのような1点1点手作りですとあまり関係ないのですが

量産加工ですと、比重の問題で一度に加工できる数が金の約1/3になってしまいます。

これらの理由で他の貴金属より技術や工数がかかり

結果、製造コストが高くなり、ジュエリーになった時に金額が高くなります。

「プラチナは、相場では安いはずなのにジュエリーなると高い!なんで?」

と思われた時にはこちらを思い出していただけると幸いです。

少しでも皆さんのお役に立てますように。